時にはうどんのように

読書

常々、椎名誠のように肩の力を抜いた文章を書きたいと思っているのだが、もちろんそれはそんなに簡単なことではない。言いたいことを全て書きつつ、力が抜けているというのは達人の技なのだ。ちなみに今回、図書館でずらっと並んだ椎名誠本の中からこれにきめたのは、「うどん」という文字に惹かれてのことである。

そう、僕はそば派ではなくて断然うどん派だ。間違いなくうどんのほうがお気楽な食べ物である。いつでもお気楽な雰囲気のあるうどんに比べ、そばはちょっと気合が入っている。例えば、福田元首相はうどんは庶民の食べ物だと言って、そばしか食べなかったという伝説を残している。いまわの江戸っ子が、一度で良いからそばに汁をたっぷりつけて食べたかった、と言い残して亡くなった、という落語のネタもある。

で、この本、40程のコラムが収められており、いつもの椎名節が快調に続くのだが、読み進めてもうどんのネタが出てこない。おかしいなと思っている内についに読み終えてしまった。はて、この題名は、と思いつつあとがきを読んでいたら、最後の最後に、題名についての断りがあった。

「本文を読んでもそれに該当するところ明瞭に掴めず、甚だ困惑しておる」―などという指摘がなされるかもしれないが、もうすっかり気分をうどんにしてしまった著者は、既に何も考えるちからをもたずひたすらのたりのらくらするだけでそのことにはこたえることができないのである。

やられた。最後のひらがなの羅列をみて、ぼくもひたすらだつりょくかんがましてしまったのです。

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