目黒区美術館で開催中の岡田謙三展に行きました。自由が丘にアトリエを構えていた方ですので、地元画家の展覧会ということになります。岡田の活躍の場は日本、パリ、ニューヨークと移り、その度に画風を変えていきました。評価が高まったのはニューヨーク時代で、私が見ても作品の完成度が違いますし、何より日本文化をベースとした思想性や、語るべき対象としての存在感が強く感じられます。ニューヨークで本物と認められるためには、画家としての実力はもちろんですが、何らかの理論的枠組みが求められます。岡田謙三は日本の「幽玄」という古来の伝統を、新たに「ユーゲニズム」として言語化することで、人気作家への階段を登っていきました。ニューヨーク以降の作品は、大きな抽象的な造形の中に具象を忍び込ませるような大作が多く、個人的にはそれほど好きな作家とは言えませんが、このサクセスストーリーとともに作品を鑑賞するのは非常に興味深い体験でした。



展示の最後に岡田がデザインしたという、博多のデパート岩田屋のショッピングバッグが展示されていました。岡田はテニスの愛好家でそれが縁で知り合った岩田屋のオーナーとの関係で、当時の天皇、現在の上皇陛下の成婚の記念に、岩田屋が岡田にデザインを依頼したとのこと。

今回の展覧会ではこれが一番気に入った作品かもしれません。


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