デザインの教科書

iphoneの登場以来、僕の住んでいる通信の世界では、特にヒューマン・インタフェース・デザインの重要性が明確に意識されるようになってきた。そこで改めてこの本で一般的なデザインの入口くらいを勉強しようと思ったのだが、ちょっとあてが外れたかな。

というのもこれは内容も構成も教科書そのものなのである。「教科書」と銘打っているのだから、看板に偽りなしじゃないかと思うかもしれないが、新書なのだから学校で教えるような内容をそのまま書いてもらっても困る。それなら本物のデザインの教科書を読んだほうが良い。

この本にはデザインと社会との関わりの重要性が書いてある。だとしたら現代の急速なIT技術の進化とデザインの関わりをどう考えるのだろうか。例えばそのような問題提議が含まれてこその新書ではないだろうか。また、この本は雑誌への連載がベースだが大幅な加筆を行ったとある、そうだとしたらこの本で取り上げている「生き延びるためのデザイン」が地震や原発との関係でどう変化したのか、どう変化させるべきか、そこが新書の領域ではないだろうか。申し訳程度に震災のトピックが書き加えられてはいるが、この本は2011年7月の刊行なのだから、もっとそのあたりを掘り下げて欲しかった。

久しぶりにちょっと辛口の感想となったが、「教科書」としての体系的で教化的な内容に特に問題がある訳ではないので、念のため。

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