エッフェル塔

モーパッサンは、自分が少しも好きではないエッフェル塔のレストランで、しばしば食事をした。だってここは、私がパリで等を見ないですむ唯一の場所だからさ、と言いながら・・・

ロラン・バルトの「エッフェル塔」は不可視という命題から始まる。

日本のTVは震災を報道し、福島原発の恐怖を執拗に煽り続けた。TV塔は放射能の恐怖を拡散するための仕掛けとして機能し、スカイツリーはその使命をさらに徹底するために建設されたとも言える。

不可視の怪物ほど人々を恐れさせるものはない。

スカイツリーはモーパッサンのように真下に行けば見えなくなるし、この簡単なトリックは人々を安心させる。だが、放射能=不可視の怪物という入念に作られたイメージは、決して人を安心させることはない。

エッフェル塔は科学の象徴として建設された。その形が美的に認識されるのは後世のことである。一方、スカイツリーはTV塔としてよりむしろ美的な構造物として既に認知されている。だが、僕はスカイツリーはなにより科学と事実を伝える象徴であって欲しいと思っている。

それがマスメディアのための恐怖を振りまく塔として機能するならば、僕もまた塔の下に行かねばならないだろう。

 

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