安野光雅展

歴史

 

今日は板橋区美術館で開催中の安野光雅展に足を運んだ。

安野光雅の絵本作家、ポスター作家、画家としての各作品を時代ごとに巡る構成で、ほとんど回顧展といっても良いような本格的な展示だった。安野の名前を世界的に知らしめた「ふしぎな絵」の原画から始まり、数学関係の雑誌の表紙やヨーロッパの紀行的な画集、最近の古典的な作品に至る作品など、すべての作品に多彩な才能とユーモアがあり、安野があらためて世界的な作家であることを実感した。

安野の名前を有名にしたのは、エッシャーに触発されて描いた一連のだまし絵的な絵本群だが、僕が一番好きなのは、出身の津和野や彼のお気に入りの安曇野の風景画だ。安野が世界的な名声を得ることができた秘密が、日本人が忘れ去ろうとしているこれらの日本の原風景の記憶にあることは言うまでもない。

今日は同じ緑地内にある郷土資料館で開催されていた「当世具足展」も見たのだが、これも中々面白かった。具足とは要するに甲冑のことであり、当世具足とは戦国時代の後に出現した機能的で軽い具足のことで、今風の甲冑という意味である。20体ほどの具足が並ぶ様は圧巻で、特に前田家や真田家の甲冑は素晴らしく重厚で存在感のあるアートだった。

でも僕が一番面白かったのは、具足の順番を追っての着用を双六にしたものだった。褌の着用から始まり、兜、袖、籠手など、なんと50回の手順が記されている。最後に殿様にお目見えして上がりとなるのだが、おそらく武士も双六ではないだろうが何らかのマニュアルを使ったに違いない。

ところで具足は写真撮影禁止だったが、郷土資料館の古民家に飾ってあったお雛様は撮影できた。こちらもとても精巧なものだった。

 

 

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