ハヤブサがイトカワの微粒子を持ち帰っていたことが分かった。もはや付け加えるべき賞賛の言葉もない。困難なミッションのほぼ完璧な達成である。
以前からハヤブサを応援していた僕が恐れていたのが、このような素晴らしい宇宙プロジェクトが仕分けされてしまうことだった。今年の1月のブログでもその懸念を書いていたが、どうやらこの時点では仕分けされていたようだ。その後、ハヤブサの見事な帰還に伴う世論の高まりで、次期ハヤブサのプロジェクトは蘇ることになる。
ハヤブサのプロジェクトはイトカワへのランディングの時点ですでに素晴らしい科学的成果だった。しかし、もし何らかの理由でハヤブサが最後に軌道を外れていたら、民主党は仕分けを見直すことはなかっただろう。科学の本質的な価値が分からない政権が人気取りのために行う政治ショーで、ハヤブサの未来が闇に葬られていただろうことを考えると恐ろしいことだ。
要するに我々は科学は百点、政治は零点という不可思議な国に住んでいるのだ。
尖閣問題でも明らかになったとおり、この国では明らかにすべき情報は隠蔽され、隠された情報は予期しない形で明るみに出る。シルクハットに消えたはずのダムは、舞台の袖からひょっこり現れる。
不思議の世界から帰ってきたアリスのように、ハヤブサは軽やかに戻ってきた。だが、不思議なロジックに支配され、全てが転倒した世界に閉じ込められた我々に、戻る場所はない。
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