ボトルネック

米澤穂信の「ボトルネック」 新潮文庫

以前空港で米澤穂信のミステリー「犬はどこだ」を題名が面白くいという理由で買ったのだが、これが当たりだった。JRの駅で再び米澤穂信の名前を見つけたのでこの「ボトルネック」を買ったのだが、こちらは更に良かった。傑作ミステリーと言って良い作品だ。

傑作ミステリーと言っても実はこの作品、正統派のミステリーではない。それどころか、いわゆるパラレルワールドを扱ったミステリーであり、例外的な作品である。リアルとノンリアルの両方を含んだミステリーとしては、清涼院流水の「コズミック」という小説を思い出すが、米澤穂信のこの作品はそれに比べれば真性リアルといって良いような整然とした構造を持っている。通常のミステリーの背景のひとつに、偶然パラレルワールドが紛れ込んでしまったという感じの作りだ。

プロットは巧妙で物語に引き込まれる。なにより主人公の男の子と女の子が交わす会話が、いきいきとしている。ライトノベル出身の米澤穂信の真骨頂だろう。

僕は「ボトルネック」という作品名にはちょっと違和感を感じた。通信の関係ではボトルネックは「通信の流れをせき止める場所」という特定の意味があるのだが、この作品では少なくともちょっとニュアンスが異なる。そんな事はともかく、この作品は、ライトノベルの読者、SFの読者、そしてとりわけミステリーの読者が楽しめる優れた作品だと思う。

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