猫町紀行

アンソロジー「架空の町」を読み進めている。掲載された20余の短編は、それぞれに不可思議な架空の町へと僕を連れていってくれる。

日本の短編の中には、萩原朔太郎の「猫町」に直接の影響を受けた作品がいくつかある。つげ義春の「猫町紀行」もそのような作品で、「猫町」への参照もある。主人公が甲州街道沿いの「犬目宿」という昔の宿場町に車で行こうとするが、なぜかたどり着けないというお話だ。カーナビができるはるか前の時代の話である。

猫に対して犬を持ってくるあたり、フィクションだろうとは思ったが、念のため「犬目宿」を地図で調べてみたら、実在する場所だということが分かった。しかし昭和54年に主な建物が火事で焼失したとのことで、往時の面影はなくなっているらしい。

もし僕がカーナビを作るなら、目的地に正確に案内するのではなく、どこか知らない町に勝手に寄り道するものを作るだろう。その名も「猫町ナビ」。

僕は面白いと思うのだけど、売れないことは確実である。

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