その日の天使

読書

中島らもの「その日の天使」 日本図書センター

ハードSFの後は、やっぱり中島らもである。何の脈絡もないじゃないかと言われそうだが、そのとおり。希望と知性にあふれた正統派SFのJ.P.ホーガンと、はちゃめちゃの限りを尽くす中島らもは、まったく繋がりません。

どうやら僕は読む本で精神の平衡を調整しているようなのだ。格調高く理路整然とした読み物の後はすこしリラックスした読み物を、と論理的に考える訳ではなく、なんか自然に正反対の読み物を手にとっている。このような節操のない読書行動こそ、僕の僕たるところなのだ。

僕はお酒もタバコも賭け事もやらない面白みにかける人間だ。だからだろう、はちゃめちゃな人間が好きである。それにしても中島らもは王様級だ。躁うつ病でアル中のロックンローラーで小説家にして幻視者。絵に書いたようないきあたりばったりの人生の果ての突然の死。

僕は中島らものような無茶な人生をうらやましいと思いながら、決して思い切れない自分をもどかしく思いつつ、これからも淡々とした人生を送るのだろう。

中島らもは一人の人間の一日には、日毎に容姿を変える「その日の天使」がついているという。僕の今日の天使は「中島らも」であったかもしれない。

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