日本文化のキーワード

栗田勇の「日本文化のキーワード」 祥伝社

どんなに西洋文化に、どんなにグローバルな消費文明に侵食されようとも、通奏低音のように心の底流に流れ続ける心の枠組みが日本にある。栗田勇はその手がかりを七つのやまと言葉に見つける。「ありがとう」、「遊び」、「匂い」、「間」、「道」、「わび、さび」、「あわれ」がそれだ。

栗田勇の言説は既にどこかで語られてきた日本文化論そのものであり、新しさはない。ただ、栗田勇は日本文化論の第一人者らしいので、僕が仕入れてきた知識の背後に常に栗田勇がいたということかもしれない。

日本文化の本質に迫るキーワードは確かに提示され、手際よく論点が整理されている。しかし、いかんせん日本文化を7つの観点から包括的に語るには、新書と言うメディアは紙面容量が少なすぎるのではないだろうか。

結局、僕の記憶に残ったのはキーワードだけである。教養としての日本文化の素材としては、よくできた内容なのだが、物足りないと思ったのも事実である。「日本文化のキーワード」というタイトル相応ということだろうか。

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