多読術

松岡正剛の「多読術」ちくまプリマー新書

本読みのスーパースター松岡正剛の本。彼の驚くべき読書量と博識さの秘密を覗きたくて空港で買ってしまった。このような超人的な読書家というものは、青年時代に集中的な読書をしているものだけど、この人も例外ではなかった。彼の場合、特に個人全集を次々に読破したらしいが、それだけでも並大抵の量ではない。しかも、彼の有名な「千夜千冊」のほとんどが、再読を経て書かれているのだ。超人的な読書能力がないとこのようなことは不可能だが、そのひとつの秘密は、彼が彼が呼んだ膨大な本の関連性のリンクを丁寧に作っていることらしい。

彼がそもそも編集をやっていたことが、このような方法論を編み出した大きな理由だと思われる。しかしそのような方法論以上に面白かったのが、松岡の読書に関する哲学である。彼は読書をある種インタラクティブで動的な行為、まさに編集的な行為と規定している。そのような本とのせめぎあい、真剣勝負が、彼の独創的なコラムを生み出しているのだろう。

最後の方で、彼の本棚のキーとなっている本が紹介されていたが、思いがけないような本が多かった。もちろん読書ガイドとしての紹介ではないのだが、例えば宮本常一の「忘れられた日本人」なんかは、僕も近いうちに挑戦したいと思っている。

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