日本の現代アートをみる

高階秀爾の「日本の現代アートをみる」(講談社)

美術評論の大御所、高階秀爾の本としては最近のもので、30人の現代アーティストの作品と解説が掲載されている。僕が一度は目にしている作家ばかりだが、特に新人に限っているわけではなくて、草間弥生とか横尾忠則なんかも取り上げられている。でも村上隆はおろか大竹伸朗もヤノベケンジも取り上げてないのは、ちょっと不満である。高階秀爾好みではないということだろうか。

作品に解説などいらないという人もいるだろうが、僕は作品と解説の間の緊張関係が好きだ。高階の解説はいつものとおり、明晰、明快で非の打ち所がないのだが、ちょっとくらい破綻してくれた方が読んでいて楽しいとは思う。

船越桂の解説の部分で、彫刻作品に付ける題名が「言葉による背景」であるという、船越自信の言葉が紹介されていた。これを敷衍すると、解説は「言葉によるデザート」ということになるだろうか。優れた解説は作品のビジョンをはっきりさせ、知覚を鋭敏にする(気にさせる)ことは確かだ。

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