マッド・サイエンティスト

昨年、米国のDARPA(国防高等研究計画局)が赤い風船という風変わりなコンテストを主催した話を紹介した。今年になって、科学ポッドキャストScience FridayにそのDARPAの職員が出て、DARPAの特異な研究システムについて語っていたのだが、正直その自由な研究の考え方に感心した。DARPAは国防長官直下の研究機関ということになっているが、実は軍からは予算的に独立しており、政策的な干渉を受けない。

素晴らしいことは、彼らが全ての研究を一般公募という形でアウトソースしていることだ。その全ての研究成果は公開されるのだが、その研究課題はとても自由で、時にトンデモ系の研究だと批判される。DARPAの職員はマッド・サイエンティストを生み出す研究をしているのだ、という冗談を言っていたが、多分半分は本音だろう。DARPAは一時NASAと同様、宇宙に関する開発も担っていたのだが、うらやましいのが米国には異なった研究思想と異なったファイナンスのシステムが共存しているということだ。

昨年、スパコンが事業仕分けされたことが報道されたが、スパコンの是非はともかく、今の日本では、ある種の大衆民主主義的な指標のみで科学の行方が決められることが問題だと思う。

20世紀で最も「マッド」な発明のひとつであるインターネットは、DARPAの前身であるARPAのためのネットワーク技術として開発されたことは偶然ではないのだ。

コメント

  1. Mr.X より:

    こんばんは。
    年賀状を古い住所で出してしまったので帰ってきました。すみません。
    改めて、おめでとうございます。

    そうですね、日本の科学振興の指標は国家的戦略が無いような気がしますね。平和ボケしてるのでしょうか。日本人の多くは、戦後アメリカに平和ボケさせられてしまったような気がします。

  2. artjapan より:

    政府による科学や産業振興のプロジェクトは、企業にとって単なる請負仕事になっているのが実態ですね。今の日本から第2のインターネットが出てくる可能性はほとんどない、と確信を持って言えることが残念でならないです。

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