究極の派遣切り

就職内定率が伝えられているが、その数値を見てマスコミもようやく事態の深刻さが理解できるようになったと見える。例の製造業における解雇規制への一連の動きが新規雇用の減少というあたりまえの結果をもたらしたことが、明らかになったのだ。TVでは中小企業の経営者が解雇規制を「究極の派遣切り」だと言っていた場面を流していたが、少し前にこのようなコメントを行おうものなら、それこそマスコミが寄ってたかって袋叩きにしただろう。

だが、事態は想像を超えて深刻である。問題は民主党に経済が分る人間がほとんど皆無だということだ。政治的にも、極端な保護主義とばら撒きで経済が活性化するという幻想を振りまく亀井大臣の暴走を、誰も止めることができない始末である。労働市場の固定化で収縮する経済をこれまで財政出動という麻薬で取り繕ってきた日本が、ついに正念場を迎えつつある。

端的に言えば、今民主党がやっていることは、官にまつわる経済活動を取り崩して、教育手当てに付け替えるショーである。もちろんこれまでの政財官の癒着構造がもたらした弊害は言うまでもないが、そのような施策だけでは経済は停滞したままである。それどころか、付け替えによる時間差で不況がさらに深刻化するのだ。経済学者や識者が言ってきたことだが、正しい成長戦略がなければ日本の問題、つまり雇用の問題を解決することは原理的に不可能なのである。経済的には民主党は自民党の正当な後継者であるとさえ言えるだろう。成長戦略などと言わずとも、成長を阻害する規制を撤廃するだけで効果は出る。例えば教育手当てをする前に、待機児童を量産している元凶である規制の緩和を直ちに実施すべきである。

大きな政府の信奉者である民主党の辞書には、「規制緩和」という言葉さえないようだが、もはや日本経済に残された時間は少ないと思う。

コメント

  1. Mr.X より:

    Mr.Xの写真館のコメント有難う。
    身内ばかりのコメントでしょげてたところです。

    そうです、特に中小企業は息絶え絶えなんですよ。
    このままで1年はもたないですよ。
    別の話ですが、どう考えても科学技術への予算カットは厳しいですね。
    日本に未来を絶つようで、ますます国民の心は荒んでしまいます。
    我々の子供のころは、夢を託して親が貧乏しても子供の将来の為に塾に行かせたり、お金を掛けていましたね。
    それと同じだと思うのですが・・
    予算カットではなく、天下りシステムのカットを何とかして欲しいものです。

  2. artjapan より:

    そうですよね。大前研一も民主党はもっと心理経済学を学べと言っています。要するに庶民のご機嫌取りに忙しくて、庶民感覚がないのが民主党の限界かも。

    明日はまた山歩きです。その後忘年会だ!

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