橋本治の「ひらがな日本美術史」、いつも赤レンガ図書館で読んでたのだけど、ついに第4巻で俵屋宗達や尾形光琳の時代に入ったので、結局借りてきてしまった。いつもは早読みの僕だけど、このシリーズだけはゆっくり楽しんで読むのだ。
宗達のファンなので、橋本が宗達を「つまらない」とか言うとどうしようか、なんて僕はひやひやしてたのだけど、さすがに橋本から見ても宗達は比類ない天才という評価だった。もちろん並みの批評ではなく、何段にも折れ曲がった論理で楽しませてくれる。
面白かったのは光琳に対する批評だ。橋本は光琳を「写実の人」と呼ぶのである。光琳をデザインという観点から批評した人は多かっただろうが、写実というのはどういうことだ?
でも今回も橋本は完璧な手続きと並ぶもののない審美眼で読むものを納得させるのだ。ここで橋本の批評の要点を並べたところで、意味はないのでやめておくことにする。橋本の批評は彼だけがなしうるアートであり、至高の作品なのだ。
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