先日の日曜美術館は、山をこよなく愛し、38歳の若さで遭難、帰らぬ人となった画家、犬塚勉についてでした。
亡くなって20年が経つそうですが、最近になって熱心なファンが増えてきたとのこと。僕はそれまで全く知らなかったのですが、TVの画面を通して圧倒的な力が伝わってきました。
絵の対象は、野原だったり、ブナ林だったりあるいはせせらぎだったりと、特別なところのない自然の風景だし、新しい技法をあみ出したわけでもない。一見、どこにでもあるような細密な具象です。でも何かが違う。何か決定的に人の心を掴んで離さないものが、犬塚の絵にはあるのです。
番組のゲストは画家と美術史家でした。画家の方は犬塚の画家としての挑戦的な姿勢を評価していました。一方、美術史家の方はジョン・エヴァレット・ミレイの細密画に匹敵する画家が日本にもついに出現したのだと、全く持ってとんちんかんとしか言いようのない解説を行っていました。
僕は、自然への限りない近接という意味において、犬塚こそは、時代や技法を越えて若冲に比せられるべき偉大な画家なのではないか、と考えはじめています。
というわけで、犬塚の絵について我が家で盛り上がってしまって、画集を注文してしまいました。
奥多摩のせせらぎの里美術館で8月末まで犬塚勉の展覧会を行っているとのことなので、その内に山歩きを兼ねて訪れて見たいと思っています。
コメント