西洋中世奇譚集成

「おお、アレクサンドロスよ。お前の寿命はもう満ちておる。来年の5月にバビロンで身罷ろう。予想もしない者に裏切られて息絶えよう。」

「西洋中世奇譚集成 - 東方の驚異」は中世ヨーロッパに広く受容された「東方の驚異」に関する代表的な伝説を3編集録したものです。

そのうちで一番面白い「アレクサンドロス大王からアリストテレスへの手紙」は、大王が、東方への遠征や驚異に満ちたインドの様子を、哲学者アリストテレスに宛てた手紙とされています。中世の西洋からみた、不可思議で未知のインド(東洋と言い換えても良い)のイメージが良く分ります。

大王は最強の軍隊を引き連れて東方の王の軍隊を打ち破り、様々な猛獣、怪獣の襲撃をかわし、大王の寿命を占う預言者の言葉を聞き、最果てのガンジス河に到達します。そしてそこに金でできた「不滅のモニュメント」を建設するのです。

この本のイメージで思い出したのは、以前見た映画の300(スリーハンドレッド)です。これは紀元前のスパルタを攻めに来た100万のペルシア軍を300人で迎え撃つスパルタの英雄達の物語なのですが、ペルシアの王がスパルタ人の倍の身長がある耳飾りをしたエキゾティックな人物として描かれていました。

これまで僕はこのようなある種超現実的なイメージがあふれた幻想の東洋を荒俣宏の収集した画像で楽しんできたのですが、今回やっとそのオリジンであるテキストに出会ったという訳です。

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