遊戯する神仏たち

やっと引越しのダンボールを整理できました。これでやっと読書に没頭できます。

「遊戯(ゆげ)する神仏たち」は、辻惟雄が日本の近世の宗教美術を語ったものです。最初に辻は日本の宗教観が、アニミスム的な土壌の上に構築されたものであることを語ります。そして日本美術の自由で独創的な表れが、近世において民衆的な仏教と分かちがたく結びついていく様を語ります。

ここで彼が語る仏教とは、為政者と結びついて堕落を重ねたそれではなく、白隠、木喰、円空など、民衆の中で権力と無縁の行脚を続けた清僧の伝統です。辻は実は(正統的な)仏教美術が苦手だと言っているのですが、この本にはその嗜好が良くでています。教科書的な仏教美術より、民間信仰の中に生まれた素朴な表現にこそ日本美術の最も良い部分があるのではないか。

この本の最後の方には僕の全く知らない無名の僧の残した絵や彫刻が出てくるのですが、辻はそこに日本美術の豊かさを見せてくれているのです。

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