漫画が語る明治

僕が最も多く読んだ文庫は多分、古典を中心的に取り上げている講談社学術文庫ではないかと思います。

今回読んだ清水勲の「漫画が語る明治」もそのひとつなのですが、この文庫にしてはあまり面白くなかったかな。やっぱり漫画という題材なら画像を中心にして欲しいし、なるだけ大きく掲載して欲しい。でもこの文庫はそもそも、そのような編集や装丁に力をいれないのです。そのようなポリシーを持っていることは、決して悪いことではないとは思いますが。

過去に埋没している間に、世の中は不況に突入してしまったようです。ブロードウエイやオフ・ブロードウエイの劇場も閉鎖が多くなってきているようで、「ヘアスプレー」を上演していた劇場も閉鎖してしまったとのこと。

これは米国に端を発した不況というより、米国というビジネスモデルが終焉を迎えたということだと思っています。僕が過去の日本を卓越した文明として懐かしむように、これから米国人は古き米国を懐かしむのでしょう。でもそのふたつには決定的な差があります。それは江戸が持続可能な文明であったのに対し、米国のそれはいつまでも続けることなど出来ない不可逆な文明、行き詰るべくして行き詰った文明だということです。

米国の文明とは要するに砂上の楼閣だった訳ですが、それにも関わらず、というかそれゆえに米国の大量消費型生活への回帰への熱情は、今後大きなうねりとなることは間違いないでしょうね。米国文明への追悼は、まだ始まったばかりということです。

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