現代思想としての環境問題

埼玉から、都内某所に引っ越しました。だからちょっと忙しくて、更新が滞ってました。

ここが気に入っているのは、近くに出来たばかりの素晴らしい図書館があることです。というか、それが引っ越し先を決めた理由のひとつなのですが。なんと言っても、この図書館は蔵書量が多くて本のディスプレイの仕方が良い。さらに周りが公園でとても雰囲気がよいのです。もっと近くには小さいけれども別の図書館もあり、こちらはインターネット予約専門に使おうと思ってます。

ということで、ますます読書漬けになりそうです。もっとも通勤時間が片道30分短くなったので、通勤中の読書量は減ることになりそうですが。

佐倉統の「現代思想としての環境問題」は1992年の刊行ですが、今読んでも全く古びてません。以前この人が進化論について書いた本を読んだときから思っているのですが、佐倉という人はとても明晰な頭脳を持った人です。今回の本も、まえがきを読んだだけで、ほほう、と思わせてしまうだけの切れ味があります。

佐倉は進化論というフレームワークを用いて環境問題を定式化していくのですが、佐倉の問題の把握の仕方、特にある問題が他のより大きな問題(メタ問題)の特殊解であることを分りやすく説明する能力には、ほとんど脱帽です。佐倉の現代思想の理解も、単なる知識レベルではなく、ちゃんと自分の考え方を持っているし、たとえも分りやすい。

『確固として存在する自我などというものは、普遍的な考え方ではない。「日本人は自我意識が弱い」とか、「健全な個人主義が根付いていない」とかよくいわれるが、これは「日本人がスペイン語が下手だ」といっているのに等しい。』

ただ、この本に関しては進化論の基本的な概念が分ってないと、ちょっと分りにくいところもあるかもしれません。もっとも僕も進化論に関しては、ドーキンスや佐倉の著作を読んで、入り口のところが分っているに過ぎないのですが。

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