ソクラテスの口説き方

土屋賢二の「ソクラテスの口説き方」(文春文庫)を読みました。

こちらは「猫と・・・」のような哲学論文集ではなく、土屋の一番の?売りであるユーモア・コラム集です。

まあ次から次へと、このような戯画的なコラムが書けるものです。常に事実に対する懐疑が頭にあるから、というのは好意的な見方で、間違いなく奇矯な人なのだと思いますね。

コラムの登場人物で圧倒的な存在感を出しているのが、常に独裁者、暴君として描かれる土屋賢二の奥さんです。もちろん悪妻として史実に名高いソクラテスの妻のパロディなのですけど(多分)、世の中にはそれを知らない人もいるわけで、土屋の妻は悪妻だと信じている人もいるかもしれません。

土屋賢二という人は論理的な枠内における哲学の展開より、人間の言葉の偽善性、虚構性をあぶりだす術に長けた人です。そしてそれは緻密な人間観察の賜物であることは間違いありません。

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