江戸化物草子

アダム・カバットの「江戸化物草子」(小学館)を読みました。

江戸時代のお化けに関するいくつかの黄表紙を紹介したものです。アダム・カバットって良く知りませんでしたが、アメリカ人で、日本文学の研究者らしいです。黄表紙におけるお化け物って、おどろおどろしい存在ではなく、かといって幽霊のように怖くもなく、人間の世界のパロディとして読まれたと思われるどこか滑稽なテイストに溢れています。

僕はこの本がとてもまじめに構成されていることに、好感を持ちました。まず原作が改変されずに原図のまま掲載されていること、そして現代語訳が全てに付与されていること、そしてていねいな解説があること。

古典解説本のありがちな構成って、作者による作品のダイジェスト化を伴うことが多いのですが、それではひとつの作品として楽しむことができないのです。僕はこの本を、江戸時代の庶民のようにのんびり楽しむことが出来ました。僕のお気に入りの作家である京極夏彦が、解説を寄せていることも良かったですね。

最近はファンタジーといえば、ハリポタのような西欧的な物語世界に均一化していく傾向にありますが、江戸のファンタジーの豊穣さについても、日本人はもっと世界に発信すべきでしょうね。

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