コズミック 水

清涼院流水の「コズミック 水」を読み終えました。処女作であるコズミック2部作の後半です。

やはりこの作者はただものではなかったです。この本、荒唐無稽な筋立てとアニメ的な人物のキャラクター設定がなされているのですが、一応ミステリーの形式を保っています。しかし、僕は最後まで、この本が伝奇物(つまり超常現象等の介在を認める)なのか、正統派のミステリー(論理的な解決がなされる)なのか、判断がつかずにいました。

で、結論は実は両方だったのです。つまりミステリーとしての論理的な謎解きがまずあり、その後により大きな伝奇的なメタ物語が設定されていたのです。これってちょっと禁じ手って気がしますが、それぞれの物語の関係が最後には解明される(謎もお約束のように残る)ので、不思議に不満は感じませんでした。

漫画的なキャラクターや警察が頼りにする探偵集団、それから1200人の殺人予告というようなありえない設定に意外に違和感を感じないのも、作者の語り部としての資質の高さがあるからでしょう。大きな物語を喪失した現代の若者にとっては、この本の物語世界は現実の延長線上にあるに違いありません。

結論としては、京極夏彦や森博嗣に匹敵する豊かな才能を感じました。どちらかといえば、僕の好みは初期の京極夏彦なのですけど。

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