江戸のファーストフード

歴史

江戸の食事情を紹介した本って結構たくさん出ているのですが、今回僕が読んだのは、大久保洋子の「江戸のファーストフード」(講談社選書メチエ)です。

家康が作った新興の都市江戸は建設ラッシュで始まりました。それが火事や地震で次々に壊れては建て直すわけですから、職人がたくさんいました。その職人達は腹一杯食べると仕事にならない、というわけで軽い食事を何度もとりました。そのような職人達が好んだのが、てんぷら、そば、うなぎなどのファーストフードだった訳ですね。

庶民が道端で食べる様子は「江戸名所図会」などで描写されているのですが、その中でも、てんぷらがおいしそうなのです。てんぷらといっても、当時は火事をふせぐためにてんぷらを家屋で作ることが禁止されていたから、自然と屋台で出すことになります。しかも近郊でとれた新鮮な食材を、串に一本一本刺して、あつあつのまま客に供する訳です。

てんぷらは下々のものが食べるもので、武士は公式には食べてはならないことになっていたのですが、どうやら隠れて食べていた武士もいたようです(そんな姿が絵に出てくる)。

この本を読んだためというわけではないのですが、年明け早々の2日に深川の江戸資料館に行ってきました。決して大きくはない施設なのですが、内部を効率よく使って深川近辺の長屋や屋台、釣り宿等の有様を再現しています。正月早々ボランティアらしき人がここは職人の部屋だとか、ここは小唄の師匠の部屋だから金回りが良いとか、いろいろ解説してくれました。また獅子舞のサービスもありました。

屋台ではてんぷら屋とそば屋がありました。てんぷらは串刺しで並べられている様まで再現されていましたが、もしここで当時のようにてんぷらを食べられるとしたら、ちょっとした名所となることは間違いないでしょう。区立の施設だから限界はあるのでしょうが、ちょっと惜しいです。

この資料館から歩いて10分のところに東京都現代美術館があります。2日は常設展がただなので、年末出かけたにもかかわらずまた行ってきました。もちろん年末から展示換えもなかったのですが、正月休みでなまった体を多少は動かすことができました。

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