奇想科学の冒険・・・近代日本を騒がせた夢想家たち

長山靖生の「奇想科学の冒険」は、平凡社新書から2007年6月の刊行です。

最近はますます、一般に語られる歴史から離れたところに成立する「ズレた歴史」に傾倒しております。

今回読んだ本は日本が驚異的な成長を遂げていった明治から昭和の始めにかけ、科学の進展に情熱をささげつつも、どこかで正統的な歴史の枝から外れていった夢想的な科学者、発明家や小説家たちのエピソードを集めたものです。

例えば、電気通信や航空のめざましい発展、統一された時間やカラー写真の普及等、現代社会をかなり正確に予測していた近藤真琴、地動説に最後まで反対し続けた佐田介石、森鴎外、夏目漱石がその人気に嫉妬したといわれるユートピア作家村井弦斉、優しく微笑むロボットを作った西村真琴などなど。

これらの人たちには、大量消費社内を前提とした近代文明への批判的精神がありますし、危機に瀕した日本の伝統に対する復古的心情に突き動かされた人もいます。また当時の時代精神を飛び越えて遠い未来を予測しようとした人もいます。

でも、長山靖生が指摘する彼らの魅力とは、彼らが持っていた過剰な何か、既存の考え方やシステムからはみ出した要素そのものなのです。そしてそれは僕が大好きな押川春浪をはじめとする日本の古典的SF作家達が、共通して持ってた何かでもあります。

明治から昭和初期にかけて、日本はいわばその青春期を過ごしたのであり、青春時代ゆえの夢想、奇想そして過剰な行動が、老いゆく社会の傍観者となった我々(僕だけ?)を魅了してやまないのでしょう。

ちなみに西村真琴が昭和3年の昭和天皇御大礼記念博覧会のために作った柔らかく、時代を超越したロボット「学天則」は、後に荒俣宏の映画「帝都物語」に登場しましたが、僕が子供の時に遊んだおもちゃのロボットは、ハリウッドの古典的SF映画「禁断の惑星」のロビーでした。

ロビーは学天則とは対照的にメタリックなタイプのロボットで、R2D2などのその後のロボットのイメージに大きな影響を与えたのですが、そのロビーも後にあの人気TVシリーズ「刑事コロンボ」に1度ゲスト出演?しています。

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