ウォレスとグルミット

今回は趣向を変えて映画の話をしましょう。本と同じように最新作ではないですが。

クレイ・アニメーションつまり人形のコマ撮りで作られる「ウォレスとグルミット」は、我が家のお気に入りの映画シリーズです。昨年発表された「野菜畑で大ピンチ」は、宮崎駿を退けてアカデミー賞を獲得したのですが、僕が大変残念に思ったのは、ハリウッドのドリームワークス参加に入った影響でしょうが、ついにクレイアニメだけの表現を捨て去り、CGを導入したことです。

もちろんドリームワークスですから物語は面白いし、クレイアニメとCGの境目など全く分からないように作っているのですが、クレイアニメという様式による制約がもたらしていた微妙なテクスチャー、登場人物たちとの完璧な一体感が一部損なわれたことは否定できません。

米国のCGアニメってどれも判で押したような類型的なキャラクター達が登場するのですが、イギリスから渡ったウォレスとグルミットがその中で、これまで通りの世界観というかテイストを維持できるかどうか。

ハリウッド化するにつれ次第にその魅力を失っていった007が、ようやく最新作「カジノロワイヤル」でイギリスのテイストとアクションという原点に戻って再び輝きを取り戻したことを考えると、ウォレスとグルミットが今回(世間的には絶賛されているけど)長い迂回路に進み出したことは明白であり、残念でならないのです。

僕が現代を代表する芸術家の一人だと思う宮崎駿は、間違ってもその方向に行かないでしょうが。

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