がばいばあちゃん

最近読んだ本:
①佐賀のがばいばあちゃん/島田 洋七(徳間文庫)
②がばいばあちゃんの笑顔で生きんしゃい/島田 洋七(徳間文庫)
③私の戦争論/吉本隆明(ぶんか社)

①と②はすでにメディアでおなじみですが、文句なしに楽しく、元気が出る本でした。特に僕はおばあちゃん子だったので、亡くなったおばあちゃんを思い出しつつ、時に涙をこらえて読みました。

貧しくとも希望に満ち溢れた昭和という時代もまた、とりかえしのつかないことが前提として語られる過去のひとつになってしまったことを、あらためて感じました。

学問として追求された哲学で幸福になった人を僕は知らないが、がばいばあちゃんのシンプルな人生哲学で元気になる人は多いだろうな。

③の吉本隆明はどちらかといえば、その難解な方の哲学、思想の系列に連なる人だと思います。純粋マルクス主義、新左翼の教祖的イメージでずっと敬遠していたのですが、吉本隆明が戦争論を語るという趣向にちょっと興味を覚えて読んでみました。

ところが、これが意外や意外、とっても分かりやすいのです。まるで、平和主義を語る「がばいじいちゃん」、って感じのシンプルなメッセージを連ねており、罵倒癖のある偏屈な左翼思想家というところから、おだやかなエッセイストに変貌したかのようです。

「小林よしのりの主張に、現在と、これからの時代を読み解くための新しい視点や理念があるのかと言うと、それは全然ない。あるいのは、戦後の過去のやり方に対する反動だけです。」

「『戦争中は世の中は暗かった』というのは、戦後左翼や戦後民主主義者の大ウソであってね。ものすごく明るいんです。でも、その明るさというのは、本当はダメなんです。暗さのない社会というのは、逆に病的で、不健康なんです。」

「日本の政府は腰砕けだ。『NO』といえる日本になれ」という石原慎太郎の主張に、僕は半分だけは賛成なんです。でも、あとの半分は賛成できません。それは石原慎太郎が国民国家を普遍的なもののように見なし、そういう固定的な観点から、「日本国」や「日本人」を論じているからです。でも、国民国家というのは、歴史的産物であり、決して普遍的なものじゃないですよ。」

ほら、とっても分かりやすいでしょ。

まあ、批判の題材が小林よしのりの「戦争論」ですから、相手として不足があったのかもしれませんが。

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