怪しの世界

最近読んだ本:
(1)「怪しの世界」/橋本治、夢枕獏、いとうせいこう(紀伊国屋書店)
(2)「美と宗教の発見」/梅原猛(ちくま学芸文庫)

(1)の「怪しの世界」は橋本 治、夢枕 獏、いとう せいこうが、それぞれ、薩摩琵琶、講談および狂言の新作台本を提供し、2000年に国立劇場で上演した際の台本および作者と演者との対談を収録したものです。演者は薩摩琵琶が友吉鶴心、講談が宝井馬琴そして狂言は野村萬斎です。

古典に新作を提供するには、並々ならぬ技量が必要なのですが、(薩摩琵琶って始めて知りましたが)いずれもとても新作とは思えないような台本だと感心しました。

作者と演者の対談からは、公演に至るまでの作者と演者の苦心、期待、感動が伝わってきて、それぞれに興味深かったです。

特にいとうせいこうが書いた「鏡冠者」という狂言は、鏡を見る側の冠者と鏡の中の冠者を野村万作、萬斎親子が互いに役を入れ替わりながら演ずるのですが、互いに少しずつ時間をずらしながらシンメトリックに演じていくわけで、これは台本の着想が見事だと思いました。正直、公演を見たかったなと思いました。いや、ぜひ新しい古典として、今後も公演を続けてほしいと思います。

僕は「隠された十字架」で梅原猛に目覚め、今では少しずつ彼の著作を読むのが習慣のようになっているのですが、(2)は彼の美と宗教に関する初期の論文集です。

梅原猛については、もう僕などが言うべき言葉は残っていないと思いますが、彼の著作を読むたびに感じるのは、重厚なレトリックや論理の背後に常にある日本文化への深い理解と共感です。日本の古い文化を読み解くためには、宗教、特に仏教に関する知識がある程度必要なのですが、その意味で梅原猛は、僕にとって永遠の羅針盤です。

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